「星南…。入ってもいいか…。」
「話すことなんてない…。」
「ごめんな、星南。
俺、星南の気持ち考えられていなかった。
星南が、どんな気持ちで俺の傍にいてくれているのかちゃんと考えていなかった。
心に残った傷は、簡単に癒えるはずもないよな。」
その傷が、目に見えないからこそ簡単に傷ついた星南の気持ちを理解することなんて難しい。
だけど…。
気になる。
星南の兄と名乗る人物が、どうして俺へ連絡をしてきたのか。
そもそも、どうして俺の番号を知っているのだろうか。
そして…
『星南に、話さないといけないことがある。』
切羽詰まったような声で、兄と名乗る人物がそう話していた理由が。
「湊…。」
「星南…」
星南は、部屋の扉を開け俺を中へ入れてくれた。
ほんの少しだけ、喘鳴がある星南に吸入をさせた。
「なあ、星南。
やっぱり、まだ怖いか?」
「…。」
俯きながら、寂しい瞳をする星南の肩を自分へ引き寄せた。
「湊…。どうして、いきなりそんなことを聞いたの?」
「星南…」
「…私、必要なくなった?」
想像もしていなかった言葉が、星南の口から出てきて咄嗟に俺は星南のことを抱きしめていた。
「何で…そう、思ったんだ?」
「…家族のことを話したら、家族の元に返されるのかと…」
「そんなこと、あるはずがないだろう。
俺は、どんな時があったとしても星南を守ると決めたんだ。
この大切な星南を誰にも渡したくない。
それが例え、星南を産んだ実の親だとしても星南のことを渡したくない。」
小さく震える星南の背中をただただ撫でていた。
それと同時に、唐突に家族のことを教えてほしいなんて突拍子も無いことを言ってしまった自分を悔いた。
ちゃんと説明をした上で、星南に話をするべきだったよな。
「星南。顔、上げてくれるか?」
俺の言葉に、星南は顔を上げ涙で潤んだ綺麗な瞳を俺に向けてくれた。
その吸い込まれそうな綺麗な瞳に、うるさい程心臓が加速していく。
星南に見つめられると、理性を保つことに精一杯になる。
「星南、実はな星南の兄と名乗った人から連絡があったんだ。
星南に、兄とあたる人がいるとしたら教えてほしい。
その人は、星南にどうしても話したいことがあるって言ってた。
話さなければいけないことがあるって…。そう、言ってたんだ。」

