棗ちゃんはステキな恋がしたい



「かくれんぼですか。お嬢」


放課後。

ひと気のない階段にしゃがみこんでいると、坂田がやってきた。


「髪。結びましょうか」

「どうせ。……わたしは。自分のこと自分でできない子供だよ」

「なにをやさぐれているんですか」


坂田がどこからかヘアゴムを取り出すと、わたしの髪をポニーテールにまとめてしまう。


「……どうして嘘ついたんだろ」


信用されてなかった?


「わたし、べつに……誰かにバラしたり。しないのに」


あんな風に一斗のヒミツみんなの前で知られることになるなんて、思わなかった。


どうしよう。