「……もう。いいよ」 橋本さんがつぶやく。 他の子は次の授業を始めたり、橋本さんのことを見ないようにしている。 これでいいの? ほんとに? 「一斗」 一斗に近づく。 「見せて、かばん」 「……はあ?」 ギャルの子が顔をゆがめる。 「あんたまで。一斗のこと――」 「疑ってない」 「だったらなんで」 「このままじゃ。一斗に容疑かかってるみたいで……イヤだ」 信じてるからこそ、疑いを晴らしたい。 「……いい? 一斗」 「好きにしろよ」