一斗は、相変わらず神出鬼没だった。


いつ教室に現れるかわからない。

いても滅多に口を開かない。


寝ているか、音楽聴いてるか、スマホいじってるか……。



「寝顔、意外にかわいいよね」


ハッ。

ギャルが一斗のこと隠し撮りしてる。


本人の許可なく写真撮るのってよくないんじゃ……



「なによ」



目が合ったギャルから睨まれる。



「……いえ」



な、なんだろう。

うちの男連中より怖いオーラが見える。


未知。



「すーざーきーくん」



気づいたことがある。


一斗は、先輩から可愛がられているみたい。

メイク濃い目の女の先輩が教室まで一斗に会いに来たりするから。


「あーそーぼ」

「彼氏できたって言ってなかったか」


先輩にタメ口だ。


「それはそれ」


これから授業なのに、どっか行っちゃった。


それはそれ、とは!?