「それで。これがその、お嬢特製パウンドケーキですか」 「うん。うちに持って帰りたいってお願いしたら、先輩が包んでくれたの」 「親父さん泣いて喜びますね」 「パパの分もあるよ」 「と、いいますと」 「坂田も食べて感想聞かせてね」 「……自分もですか」 「坂田は料理得意だから。わたしの手作りじゃ、不満?」 先輩が手伝ってくれたんだ。 食べられないほどヒドくはないだろう。 「いえ。食うの……勿体ないですね」 「なに言ってるの。食べなきゃ勿体ないでしょ」