「待って……!!」 ――――ダメ 「申し訳ありません。いくらお嬢の頼みでも聞くことはできかねます」 いつもなら、きちんとセットされている髪が、雨でくずれていて別人のよう。 「人殺しに……なっちゃう」 「なにを言っているんですか。もうとっくに汚れ仕事には慣れていること、勘のいいお嬢なら気づいていたでしょう?」 坂田は、時折 とびきり冷たい表情をみせることがあれば 夜遅くに血のついたシャツを着て帰ってきたこともある。 「ハルおじさんを撃たないで。お願い」