天気は、なんとか持ちこたえてくれた。


グレーの雨雲が空一面に広がっていて、いつ雨が降ってもおかしくない。



「お疲れ様です。お嬢」

「あれからミツルさんどうなったの?」

「おや。クラスの優勝を喜ぶより先に許婚の心配ですか」

「茶化さないでよ坂田」

「病院で処置を受け、今は眠っているようですね」



……眠っている?



「彼はここ数日トレーニングに打ち込んでいましたから」

「そうなの?」

「体育大会での活躍。お嬢に少しでも見てもらいたかったのでしょうね」



なのにわたし、自分のことで精一杯になっちゃっていたね。



「ただのストーカーではないのかもしれませんね。彼」

「……うん」

「病院までお送りしましょうか」

「でも、寝てるんでしょ」

「彼のことです。お嬢が見舞いに来るなら死ぬまで入院したい、と言い出しかねませんね」

「それだけヘンなこと言う元気があるならいいんだけど」