変な人に好かれてしまった。



「おはようございます、お嬢」



昨日のこと、坂田は何も聞かない。



「ねえ」

「はい」

「よくよく考えると。坂田がなにも知らなかったなんて、ありえないの」

「と、言いますと」

「ミツルさんがわたしの隠し撮りしてることに気づいてなかったとは言わせないよ」



坂田ほど、常日頃からわたしの周囲に気を配っている人間はいない。



つまり坂田は少なからずミツルさんの影に気づいながら、あえて放置していた。



「知らんぷりしてたでしょ」

「申し訳ありません。口止めされていましたので」

「パパに?」

「はい」

「坂田のウソつき」



涼しい顔しちゃってさ。

これだから悪い大人は。