やってきたのは、高架下。

一斗が誰かに電話をかけている。


相手は女の子っぽい。


「そうか。ああ」


"サキ"さん……?


「あ? しつけーな。俺なら平気だって言ってんだろ泣くな」


言葉はキツイけど優しさが滲み出ている。


それが自分以外の誰かに向けられるのを見るのは、どういうわけか、あんまり見たくない。



……なんだろう、この胸のざわめきは。



「余裕だっつーの。もう切るぞ」