棗ちゃんはステキな恋がしたい



「名前は」

「か……」


いけない、坂田から

『個人情報は誰にでも教えてはなりませんよ。うっかりお嬢が口をすべらせればどこかで誰かが消えることになるやもしれませんので』


とか言ってた!



「どうしたの」



でも、この人は一斗の知り合いみたいだから大丈夫かな。

どうしよう。


「人に聞く前に、あなたが先に自己紹介してください」


こういうときはお互いに名乗ればいいか!



「意外に気が強いんだね」



タバコの残り香がする。



「これから僕になにされるかわかる?」

「……え」

「ふつうの遊びすると思ってついてきたなら。おバカさんだね」


バカって言われた!


「……あなたが友好的でないということなら、今わかりました」

「仲良くしてもいいんだ。僕は」


肩に腕がまわされそうになり、咄嗟によける。