授業が始まっていつものように板書を写していると下のグラウンドで走って練習をしている1年生の青の体操服の彼が目に止まった




この学校では青が今年の1年生だ




私の赤いリボンの色も学年によって色は変わる




1年生はさっきゆった通り青


2年生は黄色


3年生は赤




だから一瞬で学年がわかってしまう




彼は1人だけ遅れているのかそれとも早いのか離れた位置で走っている




数分したら1人で走っていた彼は先にベンチに座って頭を下に向けている




他の生徒達も走り終わり次々と休憩してから更衣室に向かっているのにベンチで座っている彼は動かない




あと1分で授業終わっちゃうのに




他のみんなは先に解散してもう着替え終わってるよね




キンコンカンコーン




チャイムが鳴ったけど彼はまだそこにいる




「おーい!まっしー!そんな熱い視線で何見てるの?」




郁人が声を掛け来て集中していたことに自分でも驚く




楓は私を面白くなさそうに三つ編みの髪の毛を1束すくってくりくりしている




「ねぇ、あの子調子悪そうじゃない?」




愛の一声にグラウンドの方に顔を向けて必然的に楓が持っていた私の髪の毛が離される




窓際を見ると彼ははまだベンチで頭を下に向けて頭をを膝につけている




大丈夫かな?




その時ベンチに飲み物がないことに気づき





私は考える暇もなく財布を持って自販機で水を買ってからグラウンドに直行する




後ろから楓たちの声がしたけど今は何故か彼のことで頭がいっぱいだった




グラウンドに着くとベンチで彼が座っていて顔を伏せていた




声掛けても大丈夫かな?!




『あのっ、』




ビクッ




彼の肩が揺れて金髪のサラサラの髪の毛が風邪でなびいて、汗がピカピカと輝いて見える




綺麗·····




気づかないうちにずっと凝視してしまっていたことに気づき、持っていた水のペットボトルを一つ差し出す




『良かったら飲んで下さい』




彼は目が点になった




やっぱり知らない人からいきなりこんなことされたら怖いよね




私が腕を引っ込めようとした途端




大きな手で腕が掴まれてペットボトルを彼は受け取ると一気に半分くらい彼は飲んだ




男の子特有の喉仏にごくごく音が鳴っているのを見て思わず見とれてしまっていた




彼は口から離すとこちらに視線を向けて




「·····ありがとう」




その笑顔が太陽のように眩しくて思わず見とれ




今まで感じたこともないくらい早い鼓動を感じる




「良かったらこの後····」




彼がなにか途中までいいかけた時




グイッ




後ろから急に引き寄せられ大きな胸に顔を埋めさせられる




ほんのり香るシトラスの香りがして誰かすぐに理解した




大きな胸に抱き寄せら楓の心臓の音がはっきり聞こえる




急いできたからだろうか、鼓動が少し早い気がする




楓の顔を伺おうと上を見ようとした瞬間




少し怒っているように見えてたが、また頭を下に向け楓の胸に顔を埋めさせられる




「真白もう用は終わった?」




いつもの声色に聞こえるけど少し怒っているように感じるのは何故だろう




『うん』




私が一言返すと胸から離し、私の腕を掴んで強く引っ張る




「先輩その、名前聞いてない。俺は黒崎透」




私は振り向いてその強い眼差しに吸い込まれそうになる




私が足を止めたのと同時に楓は振り向かないまま一緒に足を止める




『朝日真白って言うよ!』




彼が可愛くてはにかんだ笑顔で返すと黒崎くんはその後少し頬が火照ってたように見えたけど勘違いだよね?




その後教室までの道のりを歩く




次の時間にはギリギリ間に合いそうだ




普通に変えれば大丈夫そうだ




透くんと別れてから楓は一言も発さずただ腕を掴んで私を引っ張る




『楓·····どうしたの?気分でも悪いの?』




そう言い前を歩いていた彼が足を止めて、やっと彼の表情かを見えてその表情が傷ついたようで私はどうしていいのかわからなくなり彼を見つめる




『真白は何もわかってないよ』




「なんで楓怒ってるの?私何かしたの?ごめん·····言ってくれないと私分かんないよ」




少し涙目になり堪えて唇を少し噛むと楓が唇に指を当てて




耳元に顔を近づけたと思ったら




「唇傷ついちゃうから噛んだらダメだよ。ただ少しイラついただけだから」



また抱き寄せられ頭を撫でられる




私はまだ気づいてなかった




この瞬間を見て嫉妬狂う彼女達の怖さに



今日の授業が終わり、弓道部のメンバーの女の子二人がクラスまで楓たちを迎えに来ていた




その1人の片桐うららと言う私より濃いピンク色のふわふわの髪の癒し系な感じの可愛い子がいるだけど



思いっきり私を睨みつける




いつも睨まれる




楓とは4ヶ月ほど前から付き合っているらしい·····




私があなたのこと睨みたいよ·····




今はもう吹っ切れてるけど、楓のことはずっと小さい頃から好きだったから·····




最初は楓の彼女の君が羨ましかった·····



でもね·····彼女を恨んでなんかいない



楓には好きな子と純粋に幸せになって欲しいと思うから




楓が私の元にいつもどうり来て「終わるまで待ってて」と一言言いう



私が頷いたのを確認すると




郁人と他の生徒と一緒に弓道部の部室に向かっていった




その後ろ姿を見るとやっぱり片桐さんは楓と腕を仲良さげに組んでいて幸せそうで少し羨ましくはなる



私も好きな人にいつか出会えたりするのかなぁ




「真白今日も楓くんが終わるの待ってるの?」




少し呆れたような口調で愛は言う




心配してくれてるのかな




『大丈夫だよ。私も図書室に用があるし』




愛は眉を下げながら「また明日ね」と言い、私に手を振ると帰って行った