俺は、恋をして知ったことがある。人は、なぜか思っていることと正反対のことを好きな子に限って言ってしまうということを。
もしかしたら人任せな奴だと思われてしまったかもしれない。


「海飛はなんかほしい物無いの?それに、ちょっとくらい手伝ってよ。何もやってないんだからさ。」


あ~、やっぱり人任せな奴だって思われちゃった。本音を隠すように俺はつぶやく。


「昨日の貸しは、、、チャラにしたから、、、。」


そして少し考えているふりをしてから、諦めたように言った。


「もういいや、わかったわかった。行ってやるから。」

「マジ!?ありがとう。」


この時の、椿の笑顔と言ったらたまんない。マンガで言う、”パァァァァ”みたいな。この笑顔を見せるのは俺だけにしてほしいな。

それから買い物に付き合ってやった。いや、一緒に入れてすごくうれしかったから、付き合わさせてもらったの方が、正しいかもな。ただ、思っていたよりたくさん椿が買ったので、少し驚いたが、、、。


ーすっ

椿が袋を持ち始めてすぐ、俺は椿の分を代わりに持った。


「、、、?いいよ、そんなに持たなくて。」


は?こいつ、鈍感にもほどがあるだろ。男子が好きな奴の荷物を無言で持ってあげるのは、当たり前だろーが。


「重いだろ。」


俺はそう言った。


「でもさ、全部海飛が持ったら今度は海飛が疲れちゃうじゃん。」


、、、優しい。やっぱり好きだなぁ、椿のこと。