それから高校に入って、あいつにも好きな奴ができたらしい。ほぼ百パーセント一条だ。直接言われたわけではないが、椿のことをよく見ている俺には、すぐに分かった。きっと昨日ちょっと待っててと言われたのも、写真かなんかを隠すためだろう。あいつは隠しているつもりになっているが、俺にはお見通しだ。


ー ー ー


きっとどこかに少し出かけたんだろうな。そう思って俺はドアにかけていた手を降ろした。受験勉強で、相当頑張っているらしいし、息抜きは大切だ。俺は少し周りを散歩することにした。

近くの公園で幼稚園か、小学生くらいの子が沢山遊んでいた。
俺も、小さい頃は椿とよく遊んでいたのに。そんなことを考えてしまう。

こんな景色を見ると、小さいころに戻ってやり直したいなと思う。

戻るならいつがいいだろう、幼稚園?小学生に戻って、ひねくれないよう性格を強制するのもありだな。

そんな、現実には到底あり得ない妄想が勝手に広がって行った。


それからしばらくして、さすがにもう帰ってきただろうと家に戻った。
それでも、まだカギはかかっていた。インターホンを押しても、返事がない。
少し考えて俺は、電話をかけた。椿が楽しんでいる間に邪魔するような真似はしたくなかったが、あいつの性格上、自分が悪かったって、スゲーしょげるからな。

、、、それも、可愛いんだけど。でも、いくら電話をかけても、一向に電話はつながらなかった。