マジか、全部丸聞こえだったのか。スマホのボリューム下げたんだけどな。
いやいや、そんなこと考えてる場合じゃない。

走れ、椿!!いけーーー!!!


ー ー ー


ードドドドドドドドドド


「ゼーハー、、あの、ハー、、、今、ハァハァ、、、開けるね。」


全速力で家に向かった私は、鍵を開けながらそう言った。

おそらくこれからもこれまでもこれほどのスピードで走れることはないだろう。

この速さなら、マラソン大会の時、一位とれたかもな、なんて考えながら(そんなこと考えてる場合じゃなかったですね、すいません)ドアを開けた。


「うおぉぉぉ、家だぁぁぁー。」


そう言いながら、海飛はソファにダイブした。


「あっ、、、。」

「いいだろ。ずっと俺を玄関の前で待たせてたんだから。ほんっと、どこ行ってたんだよ。」


キッ、と見られて(睨まれて?)海飛に言われた。
確かに、私のせいだし、、、。今日だけは、目をつぶらなければ。


「塾です、、、。」


聞かれた私はそう答えた。