なんの意図も感じさせない、自然なきれいな笑顔を僕に向けながら言ってくれた。


「ありがとう。」


僕は気づいたらそう答えていたんだ。


いくら女の子に囲まれているからと言って、その子は一度も僕の所へ来たところが無かった。何の接点もなく、僕に何の気もないだろうに、ちゃんと気にしていてくれたことがうれしかった。


その日から、僕もその子のことを気に掛けるようになった。
字は性格を表すとはよく言ったものだ。
その子のノートは、とても丁寧にまとめられていて見やすかった。

迷惑にならないようにとコピーだけ取らせてもらってすぐに返した。

その時にちらりと見えた名札。名前は立花椿というらしい。
可愛い名前だなぁと思う僕。


それから毎日目で追いかけるようになると、その子のいいところがどんどん見つかった。僕以外の人にも気を配っていて、様子がおかしいことにすぐに気が付いたり。何か幸せなことがあれば一緒に喜んであげたり。
とにかくとっても素敵な子だった。