リビングに戻ってきた私は、スマホに手を伸ばし、メールアプリを開く。

【なんで、海飛が泊まるって教えてくれなかったの!?】

文脈から分かると思うが、あて先はお母さんだ。打ち終わった瞬間に、送信ボタンを押す。

【あ、ごめーん。すっかり忘れてた~(*'▽')】

案外早く返信が来た。

、、、軽くない!?それにしても、軽くない!?なんでこんな重要案件言っておくの忘れちゃうの~。しかも、なんじゃこの最後についている顔文字は。完全に『ごめんね』って感じではない!文と雰囲気がミスマッチだ!

【じゃ、旅行楽しんでくるね~。】

続けてそう送られてきて、手を振っているスタンプが出てきた。

この様子じゃ、何を送ってもダメだな。というか、初めからどうにもできなかったんだし。この人たちの性格じゃ、旅行を中断してまで帰ってくるなんていうことは考えられない。ずいぶんお気楽な親である。

もう、諦めた私は海飛がお風呂に入っている間に夜ご飯を作り始めた。私、料理は得意な方なので。海飛が戻ってきてピーチクパーチク話しかけてくる前に、作っておこうと思ったのだ。

今日の夜ご飯は、、、オムライスでいっか。簡単だし。もうちょっと凝ったの作ってもいいんだけど、なんとなく今日はオムライスの気分だった。


「あがったぞー。」


少しして、海飛がお風呂から出てきた。まだ、ごしごしと髪の毛を拭いている。


「ハイよー。」


適当に私は返事をしておいた。


「夕飯まだ?」


海飛がそう聞いてきた。