「別れたって噂が広まってるみたい」

「わーお。夏休みだったのにすごい伝播(でんぱ)力。さすが学年一の美男美女カップル」

そんな会話を繰り広げている私達に気付いたのか、結大君は彼女達をサラッと交わして離れた。

「おはよー。登校するなりあれだもん。参っちゃうよ」

「モテ男は違うね」

「嫌味に聞こえるんだけど」

「うん、当たり」

すっかりいつもの調子に戻る深丘と結大君。

それを見て、少しだけホッとした。


────のも束の間。


教室へ着くなり、今度は私と志希が捕まった。

「由麻、来た! 志希君も!」

「えっ、なに!?」

待ち構えられていたようで、クラスメイトに囲まれた。

「ねぇ!」