また君と恋する

「お爺ちゃん。久しぶりに将棋の相手しようか?」

「おっ、いいのかい」

「今日こそ勝つよ」

遅い朝食を食べ終え、1人で将棋盤と向き合っていたお爺ちゃんに声をかけた。

「それにしても。由麻ちゃんが将棋を指せるとは思わなかったな」

「学童で暇な時に遊んでたの。その頃は負けなしだったんだけど……ちょっとブランクがあるとダメだね」

「いやいや。ちょっと勉強しただけで今でも対局できるんだからすごいさ。ただ……今日はいつもより凡ミスが多い。王手だ」

「うぅ……、また負けた」

ずっとお爺ちゃんの勝ちが続いている。

気分転換とはいえ、やっぱり負けるのは悔しい。

「もう1回!」

「臨むところよ。────そういえば、虹心ちゃんはまだ愚図ってるね」

駒を並べ直しながらお爺ちゃんが少し声を落として喋る。