また君と恋する

「あ、志希?」

『うん』

すぐに呼び出し音が切れて、志希が電話に出た。

「さっき電話くれたよね。どーしたの?」

『これから帰るけど、買って帰るものあるか聞こうと思って』

「あっ、そーなんだ。ちょっと待って」

と耳からスマホを離して、キッチンにいるお婆ちゃんに声をかけた。

「お婆ちゃん! 志希が『これから帰るけど、なんか買って帰るものある?』だって」

「そうね……。特にないから大丈夫よ」

「分かったー」

再びスマホを耳に当てる。

「ないって」

『……』

しかし、志希から返事がない。

「志希?」