ぬいぐるみをぎゅっと抱く虹心。

「虹心の王子様を取ったわけじゃないの」

「……取った」

ようやく虹心がこっちを見てくれた。

「私は別に志希を王子様だとは思ってないし、虹心の王子様のままでいいの」

「……」

「でもね。志希は譲れない」

「……なんで?」

「好きだからだよ」

「……」

むくりと起き上がった虹心は、

「……うん、分かった。じゃ、志希君は由麻ちゃんの王子様でいいよ」

と笑顔を見せてくれた。

『王子様とは思ってない』って言ったんだけど……まあ、いっか。

「あっ。この話はみんなに内緒ね。2人だけの秘密」

「うん!」