また君と恋する

疲れを知らない顔で。

志希はベンチに座らず私の前に立つ。

「んー、ちょっと疲れたかな。志希はまだ余裕そうだね」

「今はな。後で疲れが来そうだけど。あっ、でもここは痛い」

そう言ってみぞおちを押える志希。

みぞおちって……私がグーパンしたところ?

「えっ、うそ。そんな痛かった? ごめん」

「うそ」

私の心配を余所に、志希はケロッとしている。

「もう! やりすぎたかもって本気で心配しちゃったじゃん」

「あんなの全然痛くねーよ」

「ていうか、あれは志希も悪いよ。冗談言って振り回して」

「あれは、どっかの誰かさんが他の男に『王子様になってくれる?』なんて言うから」

「男って……子供だよ?」