溢れ出たのは感情ではなく、涙。

「夢、じゃない……?」

「ふっ。……ん、夢じゃねーよ」

志希が嬉しそうに笑うから信じられない。

「ほ、ほんとに……?」

「うん」

涙で濡れた頬を軽くつねられて、痛みを感じる。

「いたい」

「夢じゃないから」

手で顔を覆っても、ぶわっと溢れる涙を(すく)えない。


……ああ。

私の想いは届いたんだ。

志希も同じように私を想ってくれていたんだ。

またやり直せるんだ。

安心と興奮と、感動と、緊張と、幸福と。

いくつもの感情が入り乱れる。

それでもやっぱり“嬉しい”が1番大きい。