また君と恋する

まだ時間があったけど、私達は帰ることにした。

一瞬だけ握られた手。

きっと『手を繋ぎたい』って言えば志希は繋いでくれるだろうけど。

それを言えないのが今の関係。

もどかしい。


家に帰ると、出かける前のお婆ちゃんとお爺ちゃんに会った。

「早かったわね」

「うん、まあ」

笑って誤魔化す。

「ちょっと出かけてくるわね。今、真宮さんが虹心ちゃん達を連れて外へ遊びに出かけているけど、ご飯前には帰ってくると思うわ」

「そーなんだ……いってらっしゃい」

お婆ちゃん達を見送って、家の静けさに気付く。

山吹夫妻がいない。虹心や広海君達ちびっ子、真宮さんもいない。