また君と恋する

ふと。

隣のカップルの会話が聞こえた。

大学生くらいの美男美女。

「ねぇ、お揃いのやつにしようよ」

「えー。それぞれ自分の好きなやつでよくね?」

彼女さんがお揃いの柄のマグカップを取っているのに対し、彼氏さんは柄のない白色のシンプルなマグカップを見ている。

「せっかく2つ買うならお揃いのがいいよ」

「俺、その柄やだ」

「じゃあこっちは?」

「この白のやつ2つでいいじゃん。これもお揃いだろ」

むくれる彼女さん。

少し気の毒に思えてくる。

一緒に住むならお揃いにしたいよね。

うん、それってささやかな夢の1つ。

でも……なんだろう。この、他人事じゃない感じ。