お出かけに誘うのってこんなに緊張したっけ。

「?」

早く何か言わないと空気に呑まれそう。

「あ、あのさ……これから」

「志希くーん」

私の言葉を遮るように、キッチンの方からお婆ちゃんの声が入ってきた。

タイミング悪い。

「この後、暇?」

「暇……」

志希は言葉を切るとこっちをチラッと見て「じゃないです」と答えた。

暇じゃないんだ。

「あら、そう。それなら仕方ないわね」

それだけ言ってお婆ちゃんはいなくなってしまった。

志希は改めてこちらに向き直る。

「それで、何か言いたいことがあるんだろ?」

私の目を真っ直ぐに見て言う志希。

それから逸らすことができず、かと言って、暇じゃないなら誘っても意味ないし……。