深丘ちゃんとその彼氏が人混みに消えていくのを見守りながら、ホッと胸を撫で下ろした。

「今日、結大とは一緒にいれないと思ってたから嬉しい」

頬を染めた千星が俺の手を握る。

千星の足元に視線を落とすと、パンプスを履いた(かかと)に絆創膏を貼っているのが見えて

「足、痛くない?」

と聞けば、「平気」と彼女は笑った。