君と二度目のお別れをします。




お風呂から上がった私が寝室に行くと、ダブルベッドの真ん中に透也が寝転んでいた。

手足を大の字に広げてベッドの上で浮かんでいる透也は、物理的には私たちが寝るのに邪魔にはならない。

でも、透也のことが視える私にとって、ベッドの中央を陣取る彼の存在が充分な圧力になる。

引っ越しを終えて、同棲生活の初日だった昨夜。同じベッドで眠る私に一貴さんが近寄ろうとすると、透也が私たちの間に割って入って邪魔をしてきた。

透也が私たちの間で顔を顰めているとは知らず、私にキスしてきた一貴さんは、その流れで私に触れたそうにしていたけれど……。

透也の前で一貴さんに身体を開くのはどうしたって抵抗があった。

昨夜は「引っ越しで疲れているから」と言ってキスだけで誤魔化したけれど、一貴さんからの誘いをこのままずっと拒み続ければ確実に怪しまれる。

だからといって、「夜は寝室から出て行ってほしい」と透也に頼むのも、私が一貴さんに抱かれたいと思っているみたいで恥ずかしい。それに、そんなことを言えば、不機嫌になった透也がまた一貴さんのなかに入ってしまうかもしれない。


「透也、今日もここで寝るの?」

どうしたものか、とため息を吐きながら訊ねると、透也が寝転んだまま視線だけを私のほうに動かした。