君と二度目のお別れをします。


透也が嫌いだと言ったキノコの入ったクリームシチューを、一貴さんはとても美味しそうに食べてくれた。

夕飯の食器を下げて、洗い物を始めようとすると、一貴さんが私の隣に寄ってきた。


「俺が洗うから、暖乃は休んでていいよ」

「いえ、私がやります。一貴さんこそ、休んでてください。今日は持ち帰りの仕事はないんですか?」

袖を捲ってスポンジに洗剤を付けようとする一貴さんの手を止めると、彼が振り向いてにこりと笑った。


「うん、今日は全部会社で片付けてきたから大丈夫。それに、仕事で疲れてるのは暖乃も一緒でしょ。職場では暖乃に急なお願いとか無理なお願いもたくさんしちゃってるし」

私の顔をじっと覗き込んでくる一貴さんの瞳にドキッとする。

たしかに、副社長の立場で私に業務を支持してくるときの一貴さんは厳しいときもあるけれど、プライベートの一貴さんは私にとことん甘い。

いつもこんなに私ばかりが気遣ってもらっていいのかと思うくらいだ。

キッチンのシンクの前でお互いに見つめ合っていると、軽く目を伏せた一貴さんが私にちゅっと口付けてきた。