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カフェで一貴さんからの着信を無視したあと、私と透也の雰囲気はなんとなく気まずくなり。私たちのデートはそこで終わった。
家に帰ると透也がふいっとベランダに出て行ってしまったから、私も寝室にこもって一貴さんに電話をかけなおす。
「もしもし、暖乃? かけなおしてくれてありがとう。忙しいときにかけちゃってごめんね」
「こちらこそ、出られなくてごめんなさい……」
電話に出た一貴さんが優しくわたしを気遣ってくるから、カフェで電話に出なかったことへの罪悪感が増してしまった。
「大丈夫。俺も今日はたまった仕事を片付けてて。合間にかけただけだから。どこか出かけてたの?」
一貴さんが休みの日も仕事をしていたのに、ユーレイになった元恋人とデートを楽しんでたなんて絶対言えない。でも下手に嘘を吐くこともできない。
「え、っと。か、買い物に」
「そうなんだ」
私の声が裏返るのを聞いて、一貴さんが微笑まし気にふふっと笑う。
けれどただそれだけで、私を疑ったり、不必要に詮索してきたりはしなかった。



