「お待たせしました。ホットラテです」
ツンとしている透也の横顔をニヤニヤしながら眺めていると、カフェ店員のお姉さんが私の目にホットラテのカップをふたつ並べた。
「透也、カフェラテきたよ」
『おれ、飲めないんだけど』
「こっち向いて飲んでるふりだけしてよ。デートでしょ」
『わかったよ』
仕方なさそうに私に向き合った透也が、ホットラテのカップに手をかけるフリをする。
フリなのに、目を伏せて軽く首を傾けている仕草が、昔カフェでデートしていたときの透也の動きそのまんまだ。
ユーレイでも、私にしか見えなくても、透也は透也のままで少しも変わらない。
そのことが嬉しくて、透也と一緒にデートしに来てよかったと思った。
3年前に透也の死によって強制終了されてしまった私の時間を再び取り戻せたような気がした。
私の頭の心も透也に満たされて、いっぱいで。今も変わらずに透也のことが好きだ、と思う。
このデートをまだまだ終わらせたくない。
まだもう少し、透也と恋人だった時間を味わっていたい。だけど。



