君と二度目のお別れをします。


「食後にお飲み物はいかがですか?」

無言で黙々とパスタを食べてお皿を空っぽにすると、店内を巡回していた店員のお姉さんが笑顔で訊ねてきた。

コーヒーかカフェラテが飲みたい気がするけど、ただ私が飲み食いしているところを見ているだけの透也は暇かもしれない。

ちらっと視線を向けると、透也は頬杖をつきながら『飲んでいいよ』とのんびり返してきた。

だったら、何か頼もうかな。

ドリンクメニューを手に取った私は、数秒考えてから顔をあげた。


「じゃぁ、ホットラテふたつお願いします」

「え、おふたつですか?」

「はい、ふたつです」

右手の指をしっかりと2本立ててみせると、伝票から顔をあげた店員のお姉さんが訝しげな顔をする。


「あの……。これからどなたか来られるんですか?」

透也が座っている空席に視線を向けたお姉さんが、遠慮がちに確認してくる。


「え、まぁ。もしかしたら……」

不審に思われていることは十分承知でそう答えると、お姉さんはあまり納得のいかない顔で小さく頷いた。


「かしこまりました。ホットラテ、おふたつですね」

それでも最終的には笑顔でオーダーを復唱して、私のテーブルから去って行く。