君と二度目のお別れをします。


透也が私の前に現れてそろそろ1週間。いつのまにか、透也が視えることにも慣れてきた。

ユーレイの透也は私から離れる様子も消える様子もなく、毎日私と一緒に会社に出かけては、秘書課や営業部をうろうろしたり、私と話す一貴さんに無意味なちょっかいをかけたりしている。

仕事が終わると私と一緒に家に帰ってきて、テレビを見ながら寛いだり、私のそばにくっついて眠ったり。

私のそばを付いて回るペットみたいだ。いや、憑いて回るユーレイか。

ふふっとひとりで笑っていると、透也が不審な目で私を見下ろしてきた。


『暖乃、暇なんだけど。この頃週末、何してんの?』 
「うーん。家でゆっくり過ごしたりとか。たまに一貴さんとデートしたりとか、かな」

『デート……。デート、な』

一瞬嫌そうに顔を歪めた透也が、急に何か思い付いたようにニタリと笑う。


『それ、いいな。暖乃、おれとデートしよ』

「え、デート?」

『だって暇だし。それに、おれとデートしたら楽しすぎて、千堂との婚約なんて破棄したくなるかも』

自信満々に笑う透也は、まだ私と一貴さんとの結婚を辞めさせようとしているらしい。