君と二度目のお別れをします。




『――の、暖乃』

頬にひんやりと冷たい空気を感じて目を開けると、ベッドのそばに浮かんだ透也が私を呼んでいた。

「ん、何?」

『そろそろ起きろよ』

「何言ってるの。今日は仕事休み……」

仕事のない土日は朝ゆっくりしたいから、アラームを鳴らさない。ウトウトと二度寝しかけていると、冷たい空気が布団の隙間から吹き込んできた。

「さむ……」

身震いして薄目を開けると、勝手に布団に忍び込んできた透也が私の上で不服そうな顔をしている。

実体のない透也に乗られても、重たくもなんともない。

けれど、最近わかったことがひとつ。透也にひっつかれると、周囲の空気が少しだけ冷たくなる。

「透也、寒い」

文句を言いながら上にいる透也を押しのける仕草をすると、彼がきゅっと片眉を下げて不貞腐れた顔をした。

『ふーん。なら、もっとひっついてやる』

距離を詰めてきた透也の顔が近くなって一瞬ドキッとしたけれど、透也から感じるのはひんやりとした冷たさだけだ。