「藤沼くんのことを忘れられなくても構わない。だけどもし高沢さんが他の誰かとこれからの人生を歩んで行く決意ができたそのときには、一番に俺の顔を思い浮かべてもらえたら嬉しい」
積極的に私を食事やデートに誘ってきたくせに、一貴さんの告白は少しも強引ではなかった。
将来SENDOソリューションズを率いていく立場にあるのに、謙虚すぎるくらいに謙虚で。
ぐいぐいと私を引っ張ってくれていた透也のやり方とは違う、全てを受け入れて包み込んでくれるような一貴さんの優しさに絆された。
透也のことを忘れなくてもいいと言ってくれる一貴さんなら。透也のことを含めて私を受け入れてくれる一貴さんとなら。これからの人生を一緒に進んでいくのもいいんじゃないかと思った。
だから、決めたんだ。
私は、一貴さんの気持ちを受け入れるって。



