君と二度目のお別れをします。


職場で声をかけ合うだけだった私たちの関係を一歩前に進めるきっかけになったのは、もしかしたら私の些細な行動のせいだったのかもしれない。

ある日の残業後。ひとりで営業部に残っている一貴さんの姿がを見かけた私は、コーヒーを買って差し入れた。

下心とかそういうものは全くなくて、ただこれまでの感謝を伝えたいだけだった。

だけど一貴さんはたった一杯のコーヒーの差し入れをひどく喜んでくれて。

「よかったら、このあと食事に付き合ってくれない?」と、会社の役職者の立場にあるとは思えないほどの気さくな笑顔で私のことを誘ってくれた。

食事をして以降、一貴さんからの誘いは2度、3度と重なっていき。週末に職場以外の場所で会うことも増え、何度目になるかわからないほどのデートの帰り際に一貴さんから告白された。

私が透也を失ってからずっと苦しんでいたことを知っている一貴さんは、告白するかどうかずっと悩んでくれていたらしい。