だけど業務で営業部に顔を出さなければいけないときは、仕事であってもきつかった。

透也が亡くなってから1ヶ月ほどは、デスクが空っぽのまま据え置かれていて。無人のデスクがやたらと目に付いて、辛くて仕方がなかった。

営業部に出向いたあとは真っ直ぐに総務部に戻ることができずに、トイレにこもってよく泣いていた。

透也が亡くなってからしばらくは空席のままにされていたデスクは、半年もが過ぎた頃に配置換えで別の社員のデスクになった。

透也の席だった場所に他の社員が座っている、その光景を初めて目にしたとき、私は失態を犯した。

透也のデスクに彼と似た背格好の男性社員が座っているのを見て、透也がそこにいるような錯覚を起こしてしまったのだ。


「透也!」

我を忘れた私は、持っていた資料を全て取り落として透也のデスクに座る男性社員の背中に駆け寄った。

驚いて振り返った男性はもちろん透也ではなくて。

顔も知らない男性社員に怪訝な目を向けられた瞬間に、頭痛と叫び出したい衝動に襲われて、その場で泣き崩れてしまった。