もう二度と交わることのない熱を思い出して静かに目を開けると、透也が哀しそうに僅かに眉根を寄せた。
透也もきっと、私と同じ虚しさや歯がゆさを感じているのだろう。
無言で見つめ合ったあと、私たちはお互いにどちらからともなく視線をそらした。
嬉しかったはずの再会が、同時に苦しく切ない気持ちまで連れてきてしまうなんて。
透也は私が一貴さんとの結婚報告をしたことに腹を立てて付いてきたと言っていた。
けれど、いくら透也が嫉妬してくれたとしても、私のことを今も想ってくれていたとしても、透也の身体がもうこの世にない以上、私たちの関係はどうにもならない。
透也の姿が視えるようになって、ひさしぶりに話ができて、私はやっぱり今でも透也が好きだと自覚させられることが多々あった。
だけど、透也がいなくなった3年間を必死に生きていた私の人生はまだこれからも続いていく予定で。
一貴さんとの結婚を取りやめることだってできない。
だとしたら、今のまま透也が私の目に視える状態でそばにいるのは果たしていいことなんだろうか。



