君と二度目のお別れをします。


親しくなってすぐの頃の透也は私にそこまで関心があるようには見えなかったし。ただの会社の後輩としか認識されていないのだと思っていた。

ユーレイになってしまった透也にその事実を知らされるのは皮肉だけれど、それでも知らなかった透也の気持ちを知れてくすぐったい。

目を伏せて照れ笑いしていると、透也の手が私の頬にそっと伸びてきた。

透也が私の輪郭を思い出すように手を軽く椀状に丸める。

頬のそばで空気が揺れて、透也の顔が近付いてくる。

目を伏せた透也が僅かに顔を横に傾けるのを見て、私も彼に触れられたときの感覚を思い出しながら上向き加減に目を閉じた。

でも……、3年前のように透也の熱い唇が私のそこに触れることはない。

わかっていた。

昨夜私の部屋で透也が私にキスしてくれたときも、ただ空気が揺れる気配がしただけだったから。

どれだけ懐かしい思い出話を共有できても、変わらない笑顔や仕草にときめいても、私はもう二度と透也に触れられない。

ずっと会いたかった透也にもう一度会うことができて嬉しいのに、ぬくもりを感じられない虚しさが心を冷やす。

目の前にいる透也が本当はもう存在しないのだと、思い知らされる。