私の隣から身を乗り出して、あれこれと指示を出してくる透也にちらっと視線を向ける。
ユーレイになった透也の手が私に触れることはないし、あの頃私をドキドキさせた甘い香りも漂ってはこない。
だけど、パソコンの画面を見つめる引きしまった透也横顔は、やっぱり今も頼もしい。
懐かしいな。淋しさと、それから少し切ない甘さ。
隣にいる透也に複雑な想いを抱きながら、彼のアドバイスを聞いて資料を修正していく。
「あ、ほんとだ。最初に私が作った資料よりも断然わかりやすい」
『だろ?』
できあがった資料から透也に視線を移すと、彼が得意げに目を細めた。
透也の笑顔に、私の胸が昔と変わらない温度できゅんとときめく。
透也の声と少年みたいな得意げな表情が、彼がいなくなってからも何度も思い出そうとしていた記憶の中の姿と重なって。喉の奥が熱く、苦しくなった。



