君と二度目のお別れをします。


「そんなの全部、透也が勝手にいなくなっちゃったからじゃない。『ずっと一緒にいよう』って言ってたくせに。仕事に行く前に電話で声を聞いたきり、それが最後の会話になっちゃって。『さよなら』すら言えないままに、私のことを置いていったくせに。今頃出てきて、そんなふうに文句ばっかり言われたって――――」

涙がぽたぽたとテーブルの上に落ちていることに気付いて、手の甲で目元を拭う。

泣きながら透也の顔を睨むと、彼が眉間を寄せて困ったように唇を歪めた。

『ごめん、暖乃。悪かった』

声のトーンをさげて、ゆっくりと紡がれた透也の「ごめん」の言葉は、単に言い過ぎたことへの謝罪じゃない。

そこにはたぶん、私を残して一人で逝ったことに対する償いの意味も込められている。

透也の短い言葉からその想いがひしひしと伝わってくるから、胸の奥が痛くて、溢れてくる涙をなかなか止めることができなかった。

「こんなふうに会えるなら、もっと早く憑りついてほしかった……」

『だから憑りついてないし。それに、今までは実家の仏壇の周囲でしか動けなかったんだって』

目を擦る私のことを、透也が困り顔で見つめる。