君と二度目のお別れをします。


「ずっとそばにいたなら、もっと早く姿を見せてくれたらよかったのに……」

『だから言ってるだろ。どれだけ呼びかけても暖乃が全く気付かなかったんだ、って』

透也が私のことを不服そうに見てくる。

『それに、薄情なのはお前のほうだ。おれは今までずっと、暖乃が来るのをただ待ってることしかできなかったんだからな。死んだばっかりの頃は頻繁に来てたくせに、最近はたまーにしか来ないし。ひさしぶりに来たと思ったら、千堂と結婚するなんて、胸くそ悪い報告してくるし。まぁ、その結果、こんなふうに暖乃に付いて来れたのは収穫だったけど』

「透也は私が一貴さんとの結婚を決めたから、そのことを恨んで私に憑りついたの?」

『憑りついてんじゃなくて、付いてきたの!』

「どう違うの……」

『全然違うだろ。ていうか、どうして結婚相手に千堂なんて選んだんだよ。おれは知ってるんだからな。あの副社長は、暖乃が新卒で総務部に配属されたときから、お前のことエロい目で狙ってた!』

「そんなことないでしょ」

『そんなことある。あの人、副社長になる前はおれのいた営業部の本部長やってたから知ってんだよ。あの人、暖乃が仕事で営業部に顔出すたびに、お前のことちらちら見てた』

「気のせいでしょ」

『気のせいじゃない。ていうか、暖乃は入社してきたときから、新人で断トツかわいーって評判だったよ』

「そう、ですか……」

全然知らなかったし、今さらだけど。透也が嫉妬心丸出しっていう顔をしているから、恥ずかしい。