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リビングのローテーブルの前で胡座をかいてそっぽ向いている透也に、いちおう淹れたてのコーヒーを出す。
「砂糖なしの、ミルク少しでよかったよね?」
生前の透也の好みを確認すると、彼がジトッとした目で私を見上げてきた。
『どっちでもいいよ。どーせ飲めないし。おれは腹減らない』
「そっか……」
テーブルを挟んで向かい合って座った私と透也のあいだに、しばらく沈黙が流れる。
一貴さんと別れたあと私に付いてきた透也は、さっきからずっと怒っているみたいだし。
私は私で、ユーレイになって目の前に現れた透也と何を話せばいいのかわからない。
『暖乃さ、……』
「透也……」
それでも何か話を、と思って名前を呼ぶと、そのタイミングが透也と重なる。
私が気まずげに視線を泳がせると、透也が眉間を寄せて苦笑いした。
『いいよ、暖乃から先にしゃべって』
透也に発言権を譲られて、私は少し考えてから口を開いた。
「昼間も聞いたけど、私の前にいるのは本当に透也なんだよね?」



