『じゃぁ、またな』
私の頭を撫でた透也が、少しずつカタチを失くしてだんだんとただの青白い光になっていく。
それは最後に小さな光の玉になって、天井に吸い込まれるように消えてしまった。
「また、ね……」
真っ暗になった寝室で、天井を見上げながらぽつりとつぶやく。
あれ、また……って何?
透也につられてついそう返してしまったあとになって、ふつふつと笑いが込み上げてくる。
最後のお別れの言葉が『またな』なんて。何とも透也らしい。
一度目のお別れは辛くて悲しい「さよなら」だったけど、私たちはようやく、お互いに納得して幸せな「さよなら」ができたんだ。
「また、命日やお盆には実家に会いに行くからね」
透也が消えてしまった天井に向かってそっとつぶやく。
心が穏やかになった私は、深夜3時前にようやく眠りについた。



