君と二度目のお別れをします。


外に出て辺りを見回したけれど、マンション周辺には透也の姿が見当たらなかった。

このままケンカ別れで終わってしまうとしたら、一度目の別れよりも悔いが残る。

マンションのあるこの街は、透也にとって馴染みのある場所ではない。

家を飛び出した透也が向かう場所はどこだろう。実家に帰るとしたら、駅だろうか。

ユーレイになった透也がひとりで電車に乗るのかどうかもわからないけれど、とりあえず駅のほうに向かって走る。

念のため、途中途中にある小さな公園やコンビニにも立ち寄って、透也の姿がないか確認した。

生前の透也だったら、そういう場所で時間を潰したり、不貞腐れたりしているんじゃないかと思ったからだ。

だけど、公園にもコンビニにも透也の姿は見つからなかった。

透也を探し回って、ついに駅前まで辿り着いてしまった私の目の前で、横断歩道の歩行者用の青信号がチカチカと点滅してる。

透也はもう、本当に消えてしまったのかもしれない。

涙で滲む網膜の裏に、怒った透也の顔と哀しそうな一貴さんの顔が交互に浮かぶ。

何をどこで間違えたんだろう。

私の身勝手さが、結局、透也のことも一貴さんのことも傷付けた。

手のひらで目を擦って顔をあげる。

そのとき、一瞬クリアになった視界に透也の姿が映った。