私は、月が好きだ。
細長い管に巻かれたような月が好きだ。
笑うあなたもちょうどあんな目をしていた。
光の当たる部分だけ私に見せていた。
お餅つきをするうさぎは居なかった。
カニもライオンも居なかった。
クレーターのようにへこんだものだけが残っていた。

「僕は、君が好きだ。僕にとって君は天使で
 僕を正しい方向へ導いてくれる。
 僕は道を踏み違えやすいんだ。
 大きな穴にも気づかずに、
 そこに落ちている事にも気づかずに、
 先へ先へと進んでしまう。
 だから君が必要なんだ。」

私も、あなたが好きだ。
飲んでくだ巻くあなたが好きだ。
あなたの話に頷き、何度めかの話に嘯く。
あなたはまた、月のような目で笑ってくれる。
私がクレーターだと気づきもせずに。
何度も繰り返して一緒に月を眺める。

私は今、あなたの悪魔になりました。
今日も初めて、月を眺めましょう。