「いたたたた……」
転ぶ際、無理に踏ん張ったのが災いして、足首をひねってしまったようだ。
声を出さずにはいられないほど痛い。
「大丈夫か、高政」
馬を降りて有明が駆け寄って来る。
「涙が出ているぞ。そんなに痛むか」
痛さはもちろんだが、情けなさも相まって思わず涙を流してしまった。
何ともないふりなど到底できないくらいに痛い。
足に力が入らない。
起き上がることもできない。
「ここにいては、ずぶ濡れになってしまう。とりあえず祠の中に入るか」
有明の肩を借り、ようやく立ち上がることができた有様。
斎藤家嫡男たる者が、土岐家の姫君に助け起こされなければ身動きが取れないとは情けない限りだが、あまりの痛みに我慢ができず、有明の助けが必要だった。
「よかった、戸は開く。中へ入ろう」
戸はガタガタしたが、鍵はかかっていなかったため中に入ることができた。
無人の祠は、中央に神を祀る祭壇がある以外はがらんとしている。
時々行事がある際に、近所の者が手入れに来ているようだが、祭壇以外は何もない。
「とりあえずここに」
祭壇の横の壁にもたれて座らされ、その間に有明は馬を祠の脇の雨の当たらぬ場所に繋いだりしていたようだ。
未だ雨は激しく降り続け、雷鳴が耳に届き、時々稲光も何かが爆発したかのような輝きを放つ。
幸いにしてこちらに近付いてきているようではないが。
転ぶ際、無理に踏ん張ったのが災いして、足首をひねってしまったようだ。
声を出さずにはいられないほど痛い。
「大丈夫か、高政」
馬を降りて有明が駆け寄って来る。
「涙が出ているぞ。そんなに痛むか」
痛さはもちろんだが、情けなさも相まって思わず涙を流してしまった。
何ともないふりなど到底できないくらいに痛い。
足に力が入らない。
起き上がることもできない。
「ここにいては、ずぶ濡れになってしまう。とりあえず祠の中に入るか」
有明の肩を借り、ようやく立ち上がることができた有様。
斎藤家嫡男たる者が、土岐家の姫君に助け起こされなければ身動きが取れないとは情けない限りだが、あまりの痛みに我慢ができず、有明の助けが必要だった。
「よかった、戸は開く。中へ入ろう」
戸はガタガタしたが、鍵はかかっていなかったため中に入ることができた。
無人の祠は、中央に神を祀る祭壇がある以外はがらんとしている。
時々行事がある際に、近所の者が手入れに来ているようだが、祭壇以外は何もない。
「とりあえずここに」
祭壇の横の壁にもたれて座らされ、その間に有明は馬を祠の脇の雨の当たらぬ場所に繋いだりしていたようだ。
未だ雨は激しく降り続け、雷鳴が耳に届き、時々稲光も何かが爆発したかのような輝きを放つ。
幸いにしてこちらに近付いてきているようではないが。



