しばらくの間刺激的で、心躍るやりとりを続けてきたのだけど。


 この日の姫からの文は……。


 「病が重いので、しばらくやりとりができない」!?


 病?


 初めて姿を見た際は、極めて健康そうだったし、その後の交流においても病が重い雰囲気など微塵も感じられなかった。


 人知れず病に悩まされていたのだろうか。


 今の時代、些細な病だと油断しているとたちまち悪化し、医者も薬も効かずに命を落としてしまうことも多々ある。


 まさか……、このまま会えないのか?


 もう声も思い出せなくなった、亡き母の面影がよぎる。


 いつか会う日のための予行演習として、まずは文で親睦を深める段取りだったけど、準備段階のまま終わってしまうのだろうか。


 「見舞いに行く!」


 「若殿!?」


 「供はいらぬ」


 雪が降り続く中、部屋を飛び出し馬の準備をする私を見て、周りの者は驚いた。


 だが居ても立ってもいられず、馬に飛び乗り城を後にした。


 姫に万が一のことなどないよう、祈りつつ。