ハァ、ほんとイライラする!
すぐに『先生、先生!』って、私はお前らのママじゃないっていうの!
ほんと鬱陶しい!
私は別に教師になりたいわけじゃなかった。
どうせ結婚して玉の輿に乗るんだし、それまでの片手間で良かったんだ。
ただ、両親とも教師ということもあり、いつからか『先生になりたい』なんていうのが口癖になっていた。
それを言えば、バカな親は喜んだから。
それに『教師』というのは世間体が抜群にいい。
良いイメージはきっと、婚活でも役立つはず。
だから教職についたというのに──。
まさか、こんなにハードだったなんて…。
仕事は時間内に終わらない、生徒は言うことをきかないし、保護者は文句ばっかり!
「服部先生、いじめは解決したの?」
そう言って、腕組みをするのは田所先生だった。
どっから見ても地味で年増の、生活指導。
「はい。私のクラスにはいじめはありませんから」
「でも、奥田夕子だったかしら?よくジャージでうろついてるけど?」
「彼女は家が貧しくて。制服をクリーニングにも出さないみたいなので、私が援助して出してあげてるんです」
そんなの、ウソだけどね。