自分の名前を呼ぶのは、どこか痒い気持ちもあった。


けれど私は__。


「美香はこの私よ?カンナの言う通り、頭おかしくなったんじゃないの?」


「なっ…!?」


「あんたがこの私になりたいのは知ってるけど、前にも言ったよね?迷惑だって。入れかわった?あんたと入れかわってんなら、私はすぐ死ぬわよ」


そう言い放つと、止まっていたまどかとカンナが動く。


「ほら、死ぬってさ!本当に入れかわってんなら、早く死ねよ!」


まどかが再び、突き飛ばす。


「死亡動画、撮りたーい!」


調子を取り戻したカンナが、撮影を再開する。


私がよく知っている、いつもの光景だ。


ただ一つ違うのは「私は美香なの!」と、いじめられっ子の夕子がいつまでも叫んでいること。


「あの女が夕子なの!あの女がっ!」


名指しされた私は、つかつかと美香の前に歩み寄る。


パシッ。


自分で、自分の頬を打った。


ずっと付き合ってきた、私の頬を叩いたんだ。


「いい加減にして」


その頃になると、服部先生や優作も騒ぎを聞きつけてやってきた。


髪を振り乱して「私が美香よ!」と言い張る夕子に、侮蔑の眼差しを向ける。


それを私は、離れたところから見つめていて──。