テーブルには、それは豪華な朝食が並んでいた。
私がぼんやりと席につくと、すぐにメイド服を着た家政婦がやってくる。
「お嬢様、おはようございます」
「お嬢様?」
「美香さん、どうかしたの?あなた少し変よ?」
母親が不思議そうに尋ねてくる。
そうだ、私は今、美香なんだ。
長い間、鏡の前で確認したじゃないか。
どこから見ても、私は城崎美香だった。
「さっ、頂きましょう」
そう言って、2人きりの食事が始まる。
テーブルには2人しかいないのに、それ以上のメイドたちに見つめられ、ナイフとフォークを手にした。
フレンチトースト。
バターの香ばしい香りがする。
こんなオシャレなもの、食べたことがない…。
緊張しながら、一口大に切り取って口に含む。
「…あっ、美味しい」
「どうしたの?普段はそんなこと言わないのに」
「な、なんでもない」
ごまかしつつ、アッという間に平らげた。
美香はいつも、こんな美味しい朝ご飯を食べているの?
正真正銘の女王様じゃない!
そして今、私がその女王の座についたんだ。
これは夢なんかじゃない。
私は、美香と入れかわった。